2015年02月05日

河口慧海の短歌

小池光『短歌 物体のある風景』を読んでいたら、「河口慧海のうた」という文章があった。僧侶・仏教学者にして探検家の河口慧海が短歌を詠んでいたのを初めて知る。

この『チベット旅行記』が、実は一種の〈歌日記〉であることはあまり知られていない。

とあるので、早速『チベット旅行記』を調べてみると、確かに旅の途中でしばしば短歌を詠んでいる。

いざ行かんヒマラヤの雪ふみわけて
法(のり)の道とく国のボーダに
月清しおどろにうそぶく虎の音に
ビチャゴリ川の水はよどめる
ヒマラヤの樹(こ)の間(ま)岩間(いはま)の羊腸折(つづらをり)
うらさびしきに杜鵑(ほととぎす)啼(な)く
毘廬遮那(ビルシャナ)の法(のり)の御旗(みはた)の流れかと
思はれにけるブラフマの川
草かれて尾花も萩もなき原に
やどれる月のいともさびしき

さらに『第二回チベット旅行記』には「雪山歌旅行」として260余首が収められているらしい。う〜ん、興味が湧く。

posted by 松村正直 at 08:09| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。