副題は「私の会った反骨の人」。
2007年に平原社より刊行された本の文庫化。
国家や権力に屈することなく、自分の生き方を貫き通した22名の人物のルボルタージュ。家永三郎、本島等、上野英信、松下竜一、丸木俊、市川猿之助といった人々が取り上げられている。
財田川事件の無罪を確信して裁判官から弁護士に転じた矢野伊吉のことは全く知らなかったのだが、強く印象に残った。また名作『兎の眼』『太陽の子』の作者である灰谷健次郎の生き方にも驚かされた。
「現代技術というのは、非常にアクティブで、自然界に対してダイナミックな力をもって介入していくようなところがあります。いったんそれが破綻すれば大事故にもつながるし、戦争の道具にも使われるような強力さを持っています」(高木仁三郎)
「スーパーマンというのは、だいたい正義の味方でしょ。ところが、正義というのは簡単に逆転するわけですよ。イラクの問題にしても、中国やソ連の問題にしても、きのうの正義はきょうの正義じゃない」(やなせたかし)
人が死んだ後もこんなふうに言葉は残っていくのだ。
そう思うと心強い。
2014年11月14日、岩波現代文庫、1040円。