2015年01月23日

川本三郎著 『小説を、映画を、鉄道が走る』


初出は「すばる」2009年6月号〜2010年9月号。
「本を読んでも映画を見ても、そこに鉄道が出てくるとそれだけでわくわくしてしまう」という著者が、該博な知識と自らの体験を元に小説や映画、さらにはミステリ、エッセイ、マンガに登場する懐かしい鉄道風景を綴っている。

取り上げられている作品は、松本清張「張込み」、林芙美子「放浪記」、つげ義春「海辺の叙景」、島田荘司「奇想、天を動かす」、堀江敏幸「いつか王子駅で」、吉田秋生「海街diary」など、とにかく幅広い。

昭和三十年代のなかばごろまでの北海道は漁業、石炭、製紙、製鉄などが好調で活況を呈していた。本土に比べて戦争の被害が少なかったことも幸いした。札幌など空襲に遭っていない。

これなどは、戦後の北海道を考える上で外せない大切な観点だろう。
宮本百合子の随筆「田端の汽車そのほか」(1947年)には、こんな描写がある。

貨車ばかり黙って並んでいるところへガシャンといって汽罐車がつくと、その反動が頭の方から尻尾の方までガシャン、ガシャンとつたわってゆく面白さ。

おお、これなど、まさに佐藤佐太郎の〈連結を終りし貨車はつぎつぎに伝はりてゆく連結の音〉ではないか。当時は日常的に見られた光景だったのだろう。

2014年10月25日、集英社文庫、640円。

posted by 松村正直 at 07:33| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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