2015年01月18日

「中東短歌3」

中東をテーマに掲げた同人誌の第3号で、終刊号。
コンパクトなサイズの冊子ながら、短歌、評論、アラブ小説、対談、エッセイ、書評と盛り沢山な内容になっている。

サハラとは砂漠の意味とこの子には教えるだろう遠い春の日
                    柴田 瞳
偶然と故意のあいだの暗がりに水牛がいる、白く息吐き
                    千種創一

1首目、「この子」は妊娠中のわが子のこと。やがて生まれてくる子との会話を想像している。
2首目、抽象的な歌であるが、「水牛」になまなましい存在感がある。偶然とも故意ともはっきりしない出来事に対する疑いのような思い。

イブラヒーム・サムーイールの小説「このとき」(町川匙訳)は、サキの短編小説のような味わいがある。この作者と齋藤芳生の対談も面白かった。

サム (…)読書の味覚というのは、訓練なのです。良い作品を読めば、味覚もまた良くなるのです。そして「弱い」作品を大量に読むと、味覚も「弱く」なります。

中東情勢がますます混迷を深めていくなか、この同人誌がこれで終ってしまうのが残念でならない。

2014年10月10日、700円。

posted by 松村正直 at 07:56| Comment(2) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
松村さん、こんにちは。「かばん」「中東短歌」「口実」の柴田瞳です。
このたびは同人誌評をいただきまことにありがとうございます。
角川で最初に「フリーター的」を拝読した頃からずっとファンなので、ご多用のところお読みいただけただけでも光栄ですのに、拙歌の引用や愛惜のお言葉までいただけて感激です。

中東情勢は小誌創刊の頃より更に混迷を極めておりますが、文学は国境を越えるものと信じております。

松村さんの更なるご活躍を今後もまぶしく拝見いたします。
また言葉を交わす機会に恵まれるよう精進いたしますので何卒宜しくお願い申し上げます。
Posted by 柴田瞳 at 2015年01月21日 05:01
イスラム国による人質殺害予告など、中東関連の緊迫したニュースが流れています。

柴田さんの「象と文明」の一連、良かったです。〈もう誰に隠すことなき丸い腹さらして歩く春の陽射しに〉〈スプーンの裏でつぶしたターメイヤ二度と行けない国があること〉など、印象に残りました。

『月は燃え出しそうなオレンジ』を出されてから、もう10年ですね。また次の歌集を楽しみにしています。
Posted by 松村正直 at 2015年01月21日 06:28
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