副題は「新しい自然派ハンターの世界へ」。
このところ、なぜか狩猟関係の本を読むことが多い。
人間と自然との関わりや、食と命の問題、過疎化と農作物への被害など、いろいろな問題に関係してくる。
狩猟と一口に言っても、「銃猟」と「罠猟」と「網猟」があり、銃猟にもグループで行う「巻狩り猟」、「流し猟」、「忍び猟」などがある。著者の行っているのは、単独で静かに身を隠しながら獲物に近づいて射止める「忍び猟」である。
狩猟とは緻密な動物観察なのだと思う。知識と経験による観察力、その結果を分析するセンス、わずかな情報から動物たちの暮らしを浮かび上がらせるイマジネーションといった能力を使いこなすクリエイティブな行為だ。
足跡はその場所に動物がいたという点の情報だ。それに獣道の情報が加わると移動という線になる。これを積み重ねて線から平面、さらに森を立体的に観察して動物の行動を推察できるようになるとようやく獲物に近づける。
こんな文章を読むと、狩猟というのは何て繊細で緻密な行為なのだろうかと思う。
2014年12月5日、ヤマケイ新書、800円。