2014年12月20日

宇能鴻一郎著 『味な旅 舌の旅』


1968年に日本交通公社から刊行された本の文庫化。
現在では官能小説家として知られる著者の若き日の紀行エッセイ。

「松島・雪の牡蠣船」「水戸・烈女と酒を汲む」「山峡の宿場・恵那の川魚」「さざなみの志賀の鴨鍋」「薩摩半島・恐怖のヅクラ」など、全国各地を旅して、その土地の料理や酒を味わっている。

50年前の話なので、グルメガイドとしてはもう役に立たないだろうが、話はすこぶる面白く、料理に関する蘊蓄も心地良い。北海道の余市を訪れて

敷地の中央に、お伽噺の家のような、煙突をつけた、小さな社長室がある。ここの主は日本のウイスキイ製造の草分けで、七十数歳の今日までウイスキイ一筋にはげんでいたが、数年まえ英国生まれのリタ夫人をなくしてからは、東京のアパートにひきこもりがちであるという。

なんと「マッサン」のことではないか。
昭和9年に建てられたこの建物は、現在も「旧事務所」として保存されているようだ。

1980年8月10日初版、2010年10月25日改版、中公文庫、705円。

posted by 松村正直 at 11:04| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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