2014年12月12日

佐藤佐太郎、斎藤茂吉、高安国世(その2)

以前『高安国世の手紙』にも書いた通り、岩波文庫のリルケ『ロダン』は高安国世が初めて出版した本である。奥付は昭和16年6月10日。解説の最後の部分には

本訳書の出るに当つては恩師成瀬無極先生並びに斎藤茂吉先生にいろいろお世話に与かり、また土屋文明先生からお励ましを頂いた。

と書かれている。
刊行後、すぐに茂吉にも謹呈されたようで、『斎藤茂吉全集』には次のような葉書が収められている。日付は昭和16年6月15日。

拝啓先般は失礼○ロダンいよゝゝ発行大に慶賀申上候一本御恵送大謝奉り候、原本も書架にありしゆゑ、照応して拝読楽しみにいた(ママ)申上候○御母上様の歌集もこの新秋には出来申すべく、頓首

「御母上様」とあるのは高安の母、高安やす子のこと。やす子の第2歌集『樹下』が刊行されたのは昭和16年11月25日。アララギ叢書第95編として、茂吉が序文を書いている。

前回の『茂吉随聞』で見た通り、茂吉は高安国世訳『ロダン』を箱根の山荘に持って行って、そこで読もうと考えていた。その予定は実際にはどうなったのか見ていこう。

posted by 松村正直 at 07:02| Comment(0) | 高安国世 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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