2014年11月29日

尾崎左永子著 『佐太郎秀歌私見』

KADOKAWA/角川学芸出版
発売日 : 2014-10-24

佐藤佐太郎に師事した著者が、佐太郎の歌や言葉について解説した本。「星座―歌とことば」「星座α」に連載された文章が元になっている。巻末には「佐太郎秀歌百首」を収録。

佐藤佐太郎の開拓してきた「純粋短歌」の精神と、そしてその作歌の「技術」を、後代に継いで行くべき義務がある、それは今である、と思っている。

と記す著者の思いが強く伝わってくる内容だ。
印象に残るのは、やはり佐太郎の言葉である。

「短歌とは、技術だよ、君」とは、佐藤先生に直接、また度々聴かされたことばである。
心理の表現には具体は要らない。また、「事実」と「真実」は異う。佐太郎からしばしば言われたことばである。
「真の新しさは見られる対象(素材)にあるのではなく、見る主体にある」
「主観語がなくても、またどういう形であっても、詠嘆はこもり得る、詠嘆とは作者のいぶきである」

こうした短歌に関する箴言は、佐太郎の得意技と言っていい。

他にも、昭和20年9月に佐太郎が上京した際の仮住所が「杉並区阿佐ヶ谷六ノ一八四 川村シゲジ方」であったことなど、年譜にない事実も記されており、佐太郎研究の貴重な資料となりそうだ。

2014年10月25日、KADOKAWA、2200円。

posted by 松村正直 at 10:12| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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