2014年11月16日

石井光太著 『ニッポン異国紀行』


副題は「在日外国人のカネ・性愛・死」。
NHK出版WEBマガジンにて2010年8月から2011年5月まで連載されたものが元になっている。

日本で暮らす外国人が、何をして働き、何を信じ、病気になった場合どうして、死んだらどうなるのか。「外国人はこう葬られる」「性愛にみるグローバル化」「異人たちの小さな祈り」「肌の色の違う患者たち」という4つの章で、その実態に迫っている。

現在日本で死亡した外国人が祖国へ搬送される際は、葬儀社に所属するエンバーマーが腐敗防止処置を施す。

といった専門的な話から、

何も知らないパキスタン人やネパール人が「インド本場の味」をつくっているのが多いというのが現状なのだ。

といった小ネタに到るまで、知らなかった話がほとんどである。

著者は貧困や差別など、社会の周縁に生きる人々やマイノリティーを描き続けてきたノンフィクション作家。最初は自分が多数派の「普通の日本人」に属していることに安心して読み始めるのだが、やがて自分もそのような少数派であったかもしれない、あるいは、いつか自分もそうなるかもしれないという思いを抱くようになる。

ノンフィクションの力を感じさせる一冊。

2012年1月10日、NHK出版新書、860円。

posted by 松村正直 at 19:30| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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