2006年にソニー・マガジンズから出た本の新装版。
綾部へ行った時に「あやべ特産館」に寄ったのだが、そこで地元の野菜や手作りパンなどとともにこの本が売られていた。著者が綾部に住む人だったのである。
なぜ、この本に目を止めたのかと言えば、つい先日、環境社会学をやっている兄の書いた文章に「半農半X」という言葉が紹介されていたからである。
http://nora-yokohama.org/satoyama/003/16_4.html
聞いたばかりの言葉にまた出会う。こういう偶然を私は信じるのが好きで、早速買ってみたのであった。
半農半Xとは、持続可能な農ある小さな暮らしをしつつ、天の才(個性や能力、特技)を社会のために活かし、天職(=X)を行う生き方、暮らし方だ。
この本では、こうした「半農半X」に関わる人々や、様々な事例が紹介されている。21世紀の新たな生き方を提案する内容である。
著者はこの「半農半X」をはじめ、新たなコンセプトや構想に言葉を与えること、名前を付けることが得意なようだ。他にも、「favolution」「天職観光」「使命多様性」など、数多くの言葉を生み出している。それは単なる言葉遊びではなく
新しい時代を招来するためには新しいことばがいる。新しいライフスタイルに名前をつける、何かの提唱者になる。これはとっても大事なことのようだ。
という著者の信念に基づくものだ。
自己啓発的な側面もある本なので、好き嫌いは分れるかもしれない。けれども、今後の私たちの生き方を考える上で、大事な内容を含んでいる一冊だと思う。
2012年5月5日、半農半Xパブリッシング、1000円。
最近ちくま文庫からも『半農半Xという生き方【決定版】』が出ていますね。
一度知ると、目に留まるようになります。