2014年10月21日

「棧橋」120号

1985年に創刊された同人誌「棧橋」の創刊30周年記念号&終刊号。
年4回の発行を30年間にわたって続けてきたわけで、同人誌としては前例のない長さであろう。

「「棧橋」終刊にあたって」という座談会が掲載されている。
出席者は、高野公彦、小島ゆかり、影山一男、桑原正紀、大松達知。
印象的な発言をいくつか引く。

「「棧橋」がなかったら「コスモス」をやめていたかもしれません。「コスモス」どころか、歌も続けてなかったかもしれません」 (大松)
「各自自由にやるということは、思い切った作品を作るということなんだけど、あんまり全員がそうはしてないなあ」 (高野)
「「棧橋」の作品をファックスで送って、受け取りましたというファックスを高野さんからいただいたりして、(…)そんな中で日本とも繋がっているし、歌とも繋がっていることで、自分が存在していいんだよって思えるそんな気持ちがありました」 (小島)
「やはりこういうものがないとなかなか持続しないし、持続しても短歌に燃えるという気概のようなものは出てこないですね」 (桑原)
「できればこれからは若い人たちが地域的にでもいいから集って、そのうち第二次「棧橋」が生まれたらいいし、何かのお手伝いくらいできたらいいと思います」 (影山)

「棧橋」が長年にわたって、人と人、人と短歌をつないできたことがよくわかる。
たいていの同人誌が数年で自然消滅していく中で、この持続力はまさに驚異的と言っていい。

お疲れさまでした。

posted by 松村正直 at 18:10| Comment(3) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最終号の題詠は「橋」でした。
高野さんの作品を引きます。
陳腐ないい方ですが、心が震えました。

渡り来し橋を燃やさば退路なし退路なきは良し橋を燃やさむ

前へ。です。

Posted by 福士りか at 2014年10月21日 21:10
ありがとうございました。
Posted by 大松達知 at 2014年10月21日 23:02
福士さま、大松さま
コメントありがとうございます。
座談会以外にも、印象に残る文章が多かったです。「退路なきは良し」という決意が胸を打ちますね。
Posted by 松村正直 at 2014年10月22日 17:44
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