2014年09月24日

「短歌」2014年9月号

中部短歌会の結社誌「短歌」9月号に、井澤洋子さんの「佐々木実之氏のてがみ」という文章が載っている。1991年に井澤さんは「末の子の縁で知った」京大短歌会に入会依頼の手紙を送ったところ、佐々木氏から返事があったのだそうだ。

若い者と一緒に学ばれるという事にひっかかる。我々は我々を若いとおっしゃる方々に刺激を与える自信・実力はあります。しかしその刺激を求めて入会された方々は次に同様の刺激を求めて入ってくる方々に対して刺激たりえましょうか。
京大短歌には一応名の通った者がおりますがそういう意味の実力とかの話ではなく現代短歌の新しいページに何をつけ加えるかという熱意のない方はお断りしています。
我々は別に他人に刺激を与えるために集まっているのではない。しかし他人に刺激を与えられる位でなくては困るとも言えます。

本気の文章だなと思う。
若さゆえの傲慢と無礼はあるのだけれど、短歌に対する真っ直ぐな、偽りのない気持ちがひしひしと伝わってくる。今、こんな文章を書く人は誰もいないかもしれない。

手紙は最後に「本気で来ていただけるなら次会は・・・」という案内で終っている。そして、井澤さんはその手紙を23年間持ち続け、「ギブアップしそうになる度に己への叱責となった手紙」「かけがえのない宝」と呼んでいるのである。

真っ直ぐな、本気の言葉だけが人の胸には届くのだということを、あらためて教えられた気がする。

posted by 松村正直 at 07:46| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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