2014年09月18日

小泉武夫著 『猟師の肉は腐らない』


舞台は福島県、茨城県、栃木県の三県に跨る八溝(やみぞ)山地。
電気も水道もない山の中に住み、昔ながらの自給自足の生活をする猟師「義っしゃん」の家に泊まりに行った体験記(という体裁の小説)である。

食べ物の話がとにかくたくさん出てくる。

「猪肉の燻製」「岩魚の甘露煮」「山女の川音焼き」「兎の灰燻し」「山羊の乳」「蝉の付け焼き」「地蜂の炊き込み飯」「赤蝮の味噌汁」「薬草茶」「ドジョウの蒲焼き」「ドジョウ汁」「あけびの熟鮓」「紙餅」「兔汁」「焼き芋」「焼き栗」「どぶろく」「山ぶどう酒」などなど。どれも食べたことがないようなものばかり。

今の日本ではとても文化的な生活となって、何もかも便利になり、昔の人たちの知恵や発想は消えてしまったり、希薄になってしまっている。しかし、誰かが貴重な叡智を伝承しなければ、永遠に忘れられてしまう。

という文章に、この本にこめた作者の意図は言い尽されているだろう。

2014年7月20日、新潮社、1400円。

posted by 松村正直 at 07:59| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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