2014年08月01日

志賀直哉著 『清兵衛と瓢箪 網走まで』

初期の短編小説18編を収録。執筆時期は明治37年から大正3年、年齢で言えば21歳から30歳までの作品である。25年ぶりくらいに再読したが面白かった。

「剃刀」「濁った頭」「笵の犯罪」と、推理小説風な話がいくつも。5歳くらいの女の子を騙して家に連れて来てしまう「児を盗む話」などは、最近の事件を思わせる内容だ。

私はその晩この児を盗む想像に順序を立てた。実行の決心は中々つかなかった。然し只想像を繰り返すだけでは満足出来なくなった。私は可恐々々(こわごわ)玩具(おもちゃ)とか、子供の好きそうな菓子などを用意して見た。私の肩は相変らず凝っていたが、気分は快い緊張を感じていた。

他にも、京都で下宿を探す「ある一頁」が、当時の京都の町の様子を伝えていて興味深い。

1968年9月15日発行、2011年9月15日改版、新潮文庫、520円。


posted by 松村正直 at 00:04| Comment(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
猿はつがいとなる雌を小さいころから手元におき養育するという。女児を盗りおのれの自由にしたい本能は男にはすくなからずあるようだ。ただ、これをやるということは人間の幼稚さをあらわしている。こんなことをやったらどうなるのか、の罪悪のとらえかたが愚というほかない。よく欲してよく制することができない。先日の男は大学院を出ているのだがあわれ人間失格である。衆人に公開して去勢にするべきである。
Posted by 小川良秀 at 2014年08月02日 00:07
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