2014年07月31日

『海号の歌』の続き

歌集を読んでいると、歌からいろいろと連想が広がっていくことがある。

ひかりたつ崖を飛びたる白ありきあはれ落ちずに空(くう)をただよふ

例えば、この歌を読んで思い出すのは、石垣りんの「崖」という詩。

(前略)
とばなければならないからとびこんだ。
ゆき場のないゆき場所。
(崖はいつも女をまっさかさまにする)

それがねえ
まだ一人も海にとどかないのだ。
十五年もたつというのに
どうしたんだろう。
あの、
女。

玉砕の島であるサイパンの崖から飛び降りた女たちの姿だ。

十六歳の少女「むかしのわたしは」とうつむき語る秋の水辺に

この歌からは、今話題になっている佐世保の少女殺害事件のことを思ったりする。

そういう連想は短歌とは直接関係ないのであるが、純粋に作品を読むだけではなく、そういうことも含めて読んで、味わっていることが多い。


posted by 松村正直 at 01:01| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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