監督:纐纈(はなぶさ)あや
プロデューサー:本橋成一
大阪府貝塚市で牛の飼育から屠畜、解体、小売までを一貫して行っている北出精肉店。家業を継いできた兄弟たちの仕事を通じて、生きものの命をいただくとはどういうことかを浮き彫りにしたドキュメンタリー。
今年1番の映画。
一頭の牛が店の横の牛舎から屠畜場へと連れて行かれ、そこで丁寧に捌かれて枝肉となり、さらに店内で切り分けられて店頭にならぶ。店の看板にある通り、まさに「生産直販」である。こうした形態の店はもう見かけることがないが、本来は一番理想的な形なのだろう。
また4世代に渡る家族が次々と集まってくる食卓の賑わいや、祭における地域の人々とのつながりも実に印象的だ。昔ながらの濃密な人間関係がうかがわれる。それはまた、いわれなき差別に苦しみ、闘ってきた人たちのたどり着いた現在でもある。
立誠シネマ、108分。
牛肉の「生産直販」。これは衝撃的でした。
しかも数年前まで実際に行われていたとは。
でも、これほど正直な仕事もない。
差別の描き方も好ましく思いました。
『祝の島』を撮った纐纈監督のセンスがいいなぁと思います。