内田樹と内田が主宰する凱風館「巡礼部」のメンバーが、釈徹宗の案内のもと、各地の聖地をめぐり歩くシリーズの第1弾。「大阪・上町台地」「京都・蓮台野と鳥辺野」「奈良・飛鳥地方」という3回の巡礼が対談形式で描かれている。
釈 神社ってコンピュータのハードみたいなものです。それ自身はニュートラルな状態で、そこにソフトが入り込むことによって動く。
釈 天皇家というのは、境界線上の人間に常に目線を配る存在なんですね。
内田 この世界の無数のものの中には「どんな選択肢をとっても存在しているはずのもの」と「あのとき別の道をたどっていたら存在していないはずのもの」があることになる。
内田 こっち(大谷墓地)側から来ると清水寺はぜんぜん観光寺院に見えませんね。
話の中に、ものを考えるヒントがたくさん出てくる。
一緒に歩いているような気分を味わえるのが楽しい。
2013年8月23日、東京書籍、1500円。