2014年06月08日
千葉聡著 『今日の放課後、短歌部へ!』
上菅田中学から戸塚高校に異動になった38歳の教員歌人「ちばさと」が、学校で起こる様々なドラマを短歌158首とエッセイで綴った一冊。
エッセイは角川「短歌」の連載「今日の放課後、短歌部へ!」と「小説すばる」の連載「黒板の隅に書いた歌」に発表されたもの。巻末には穂村弘、東直子との座談会「短歌には青春が似合う」を収めている。
エッセイには、現代歌人の短歌がところどころ挟み込まれている。山田航、岡井隆、入谷いずみ、近藤芳美、俵万智、横山未来子・・・。エッセイと短歌の取り合わせが良く、短歌という世界への扉を開いてくれるようだ。
顧問を務めるバスケ部の話、課題図書を貸してくれる女生徒「ラアゲ」の話、いい加減だけれど人気のある教師「フナじい」の話、作家志望の男子生徒「K」の話、教員を目指していた元教え子「タカヒデ」の話、「古今和歌集」仮名序に曲を付けた話など、一つ一つが胸に沁みてくる。
そして、千葉さんは本当にいい人だなと思う。それは昔から変わらないことだ。そのあまりにもピュアな感じが、僕自身のピュアでない部分を浮き彫りにするようで、すこし心苦しい。
2014年3月25日、角川学芸出版、1200円。
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