2014年04月10日

『シリーズ牧水賞の歌人たちVol.5 小高賢』


監修:伊藤一彦、編集人:永田淳。
今年2月10日に急逝した小高賢をテーマにしたムック。

伊藤一彦によるインタビュー、寄稿エッセイ(加藤典洋、中嶋廣、神崎宣武)、代表歌300首選(日高堯子選)、自歌自注、作歌論(坂井修一)、歌集評(伊藤一彦、大辻隆弘、栗木京子)、エッセイ、アルバム、講演録、著書解題(草田照子)、自筆年譜など、盛りだくさんな内容で、これ1冊を読めば小高賢の概要を掴むことができると言っていい。

このシリーズには毎回、伊藤一彦によるインタビューがあるのだが、これがいつも読み応えがある。伊藤さんの人柄がインタビュアーに向いているのだろう。十分な準備をした上で、実にうまく相手の話を引き出している。

インタビューの中の「だから、伊藤さんたちと違う。学生時代から歌をやっている人と全然違う」という発言や、自筆年譜の「三十四歳の遅い、遅い出発である」という記述に見られる意識は、小高さんに常に付きまとっていたものだった。それが小高さんを他の歌人とは分けていたところであり、また、周りから見れば、もどかしくもあった点だったのだと思う。

巻末には亡くなった日に版元の青磁社に届いた「最後の手紙」も収録されている。その肉筆の文字を見ていると、本当に突然の死であったことがよくわかり、あらためて悲しくなる。

ぜひ、多くの方に読んでほしい。

一か所、高安国世ファンとしては残念な誤植がある。115ページの下段12行目。
この本がよく売れて、重版されて、誤植が直されたらいいなと思う。

2014年3月24日、青磁社、1800円。

posted by 松村正直 at 00:40| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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