2014年03月18日

山崎方代の歌

今年は山崎方代の生誕100年。
ということで、全歌集を読み返している。

読み返していて、数詞の入っている歌が多いことに気が付いた。

一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております
茶碗の底に梅干の種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ
何もせず暮していると耳朶に黒い三本の毛が生えてきた
四尾連(しびれ)湖の尾根の下りに一枚の綿の畑があるを見つけた
滝戸山頭の上から月が出て五右衛門風呂をいっぱいにする
第六番卜雲寺(ぼくうんじ)の門くぐりゆく背におむすびの温もりさめず
縫いあげの取れし七つの春なりきあなたは岡谷へ売られ行きたり
亡き父母が無尽をあてて購いし八角時計が正午を告げる
念仏を唱えるようにつぶやいて算盤玉の九九を覚えし
十朱幸代君が唄えば浅草の酸漿市の夜は闌けてゆくなり

1から10までたわむれに並べてみたら、どの歌にも味わいがあって心ひかれる。

posted by 松村正直 at 01:11| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
四尾連湖の尾根の下りに一枚の綿の畑があるのを見つけた  山崎方代

口語歌を成功した彼、対象をよく観る目がすばらしい。シビレ湖の名も魅力的。このようなすばらしい自然のなかの人の営みに晴眼をまばりたい。
Posted by 小川良秀 at 2014年03月18日 10:49
「あるのを」ではなく、「あるを」ですね。
Posted by 松村正直 at 2014年03月19日 07:27
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