2014年02月27日
岡井隆著 『木下杢太郎を読む日』
詩人、劇作家であり、医師であった木下杢太郎の作品(詩、戯曲、翻訳)を読み解きながら、青年期のホフマンスタールからの影響や森鴎外との関わりなどについて考察する内容。
「未来」2011年6月号から2013年7月号にかけて連載された文章をまとめたもので、『「赤光」の生誕』(2005年)、『鴎外・茂吉・杢太郎「テエベス百門」の夕映え』(2008年)、『森鴎外の「うた日記」』(2012年)といった一連の本の続きに位置している。
何かの結論に向かって一直線に書いていくタイプの評論ではなく、考えながら書き、書きながら考えるというスタイルで、何度も行きつ戻りつを繰り返し、少しずつ丁寧に読み進めていく。前3冊に比べても、この傾向はさらに強まっているように感じる。
こうした蛇行(?)や注記の多い文章は苦手な人もあるかもしれない。ただ、この味わいに慣れてくると、ちょっと病み付きになるのも事実で、杢太郎に特に興味を持っていたわけではないのに、興味深く、そして楽しく読むことができた。
「未来」での連載は86歳になった今も続いており、そのエネルギーにあらためて驚かされる。
2014年1月5日発行、幻戯書房、3300円。
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