2014年02月25日

ムッソリーニと色紙(その1)

『斎藤茂吉全集』をぱらぱら読んでいると、興味深い話がたくさん出てくる。第六巻(随筆二)には「ムツソリニ首相」という文章がある。
 石本博士夫人は高安やす子夫人の令嬢であるから、博士が伊太利に行かれるにつき一首作りてはどうかと申越したから次の一首を作つた。そして色紙にかいて贈つた。(昭和十二年十二月)
  七いろのあやどよもして雲にのる天馬(てんま)したがふ君をあふがむ

ここに登場する「石本博士」は地震学者で東京帝国大学教授であった石本巳四雄であり、その夫人は石本美佐保(高安国世の次姉)である。

美佐保の『メモワール・近くて遠い八〇年』によれば、石本夫妻は昭和13年1月7日に船で日本を出発して、2月7日にナポリに到着している。イタリアでは大学で講義を行ったほか、さまざまな文化交流に参加。その後、ヨーロッパ各地をめぐったのち、ニューヨークへ渡ってアメリカ旅行をして、7月7日に帰国している。

斎藤茂吉『寒空』(昭和15年)には
   ムソリニ首相に与へし
七(なな)いろの綾とよもして雲に乗る天馬(てんま)従ふ君を仰(あふ)がむ

という歌が載っている。先の文章に引かれていたのと同じ歌だ。
この「君」はムッソリーニを指している。当時イタリアで絶大な権力を誇ったムッソリーニを讃える内容と言っていいだろう。

ただし、私が興味を引かれたのは、もう少し別の点についてである。

posted by 松村正直 at 07:19| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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