2003年に小学館より刊行された本の文庫化。
1996年から2001年まで、戯曲専門雑誌「せりふの時代」に掲載された二人の対談13篇が収められている。
「せりふ」「助詞・助動詞」「敬語」「方言」「対話」「流行語」など、毎回決められたテーマに沿って交わされる二人の話はとてもおもしろい。
初回の対談時の年齢は井上が62歳、平田が34歳。親子ほども年の離れた二人が率直に意見を出し合っている。異なる世代の二人が語り合うからこそ、それぞれに新しい発見があるのだろう。
平田 自分でも思いもよらなかったせりふが出てくるというか、まさに前のせりふに導き出される。そういうことがよくあると思いますね。
井上 言葉を組み合わせたり、つむぎ出したり、いろいろしながら、演劇というのは、結局は言葉で表現できないものを表現しようとします。
平田 寺山修司さんがかつて「演劇の半分は観客がつくる」という名言を残してくれましたが、これを九〇年代風に言い替えますと、「演劇のリアルの半分は観客の認知が支える」ということになると僕は思うわけです。
井上 戯曲を書こうと思ったときに、たとえば原爆をテーマにしようとか敗戦間際の大連を書こうとかといったテーマや思想や構想を最初にもって書き出すと、必ずと言っていいほど、失敗します。
演劇や戯曲、さらには日本語全般を考える上で、示唆に富む言葉がたくさん出てくる。
2014年1月1日発行、新潮文庫、590円。
暗転のこと、ラーメン屋の親父の会話から思うこと、
あと、そのテーマありきが失敗するということなど示唆に
富んでいました。何度も読んで発見したいです。
井上さんは、例えば深刻な戦争のお話の時にも、自分の出っ歯と
歯医者さんとの面白い会話をすっと入れたり、一つの目ではなく
他にも目を持っておられて、そんな所がすごいと思っています。
20年程前に、その友人がオーディションを受けると言うのでアゴラ劇場について行ったことがあります。
松村さんの東大在学時には、既にアゴラ劇場は存在していましたか?
青年団(平田オリザ)をどこで知りましたか?
そらさん、アゴラ劇場は当時から既にありました。でも学生時代には行ったことがなかったです。
青年団のことは、当時演劇をやっていた兄から聞いたのが最初だと思います。
兄の劇団の公演を見に、大学構内の駒場小劇場などに行ったりしてました。