2000年に亡くなってから、もう14年になる。
あまでうすあまでうすとぞ打ち鳴らす豊後(ぶんご)の秋のおほ瑠璃(るり)の鐘
『モーツァルトの電話帳』
生まれくる風やわらかい2Bの芽が出はじめるえんぴつ畑
「大航海時代」の語のみいきいきと前をゆく男ふたりの話
永井さんの歌の持つ透明な明るさや軽やかさを私は愛する。
一方で、その裏側にあった寂しさやかなしみについても、考えないではいられない。
もしある夜、どこかの街で私が死んでしまっても、そうとは知らずだれかが電話して、私の声とながれている音楽とを聞くだろう。そして、何か伝言を入れておいてくれるにちがいない。 『モーツァルトの電話帳』
留守番電話に吹き込まれた故人の声や音楽を聞くように、永井陽子の残した歌を読んでいる。本当に良い歌は、何年経っても良いままであり続けるだろう。
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