氷海や月のあかりの荷役橇
探梅や遠き昔の汽車にのり
轍あと深くかげりぬ誘蛾燈
白樺の皮葺きたれや避暑の宿
初瀬の驛獅子舞汽車を待てるかも
くらがりに七賢人の屏風かな
扇風器大き翼をやすめたり
眼にのこる神樂の面のことをいふ
蟷螂の鋏ゆるめず蜂を食む
スケートの君横顔をして憇ふ
山口誓子の第1句集。虚子が序文を寄せている。
どの句からも場面がくっきりと目に浮かんできて、印象が鮮やかだ。
今回読んだのは、名著復刻「詩歌文学館」シリーズの1冊。
昭和7年に素人社書屋から刊行された本の復刻版であり、当時の雰囲気を味わえるのが良い。
1980年12月20日、日本近代文学館