2014年01月10日
原口隆行著 『鉄路の美学』
副題は「名作が描く鉄道のある風景」。
1981年から86年にかけて季刊誌「旅と鉄道」に連載された記事をまとめた本。以前読んだ『文学の中の駅』の姉妹編にあたる。
文学作品の中に登場する鉄道について、当時の時代背景や現在の状況などを調べつつ、細かく読み取っていくという内容。取り上げられている作品は、井伏鱒二『集金旅行』、若山牧水『旅とふるさと』、国木田独歩『空知川の岸辺』など13編。雑誌連載時から単行本出版時までに起きた変化についても、各編の最後に補足されている。
「鉄道の誕生と発達は旅のあり方を根本から変革してしまった」「近代文学と鉄道の出会いは、一つの大きなエポックであった」といった部分に、作者のモチーフがよく表れている。
2006年9月15日発行、国書刊行会、2000円。
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