また、かのバルザックの像もさうである。ロダンは此の像に、恐らく此の文學者の實際の姿を凌駕する偉大さを與へた。彼はバルザックをその本質の底に於て捉へたのだ、が彼は此の本質の限界のところで止まることをしなかつた。
この岩波文庫版『ロダン』は、1960年に改版になっている。
訳文は次のようになった。
また、あのバルザックの像もそうである。ロダンはこの像に、おそらくこの文学者の実際の姿をしのぐ偉大さを与えた。彼はバルザックをその本質の根本から捉えたのだ、が彼はこの本質の限界のところでとどまることをしなかった。
また、この改版では図版も変更されている。
上半身だけであった写真が全身をうつした写真になっている。
同じ像の写真であるが、だいぶ印象は違うように思う。