角川文庫の『近藤芳美歌集』の解説は高安国世が書いている。これは高安と近藤の関わりを考える上で外せない内容で、私も『高安国世の手紙』の中で何度か引用している。
先日、現代歌人集会の講演において、大島史洋さんがこの解説に触れ、初版と改版で大きく内容が違うことを述べられた。私は改版の方しか読んでいなかったので、慌てて初版を買い求めてみた。確かに大きく内容が違う。
初版は昭和31年発行で、『早春歌』から『冬の銀河』までの5歌集を収録。
改版は昭和46年発行で、『早春歌』から『黒豹』までの8歌集を収録。
解説に関して言えば、初版は7ページで、解説らしい客観的な近藤芳美論といった内容である。これに対して改版は12ページで、そのうち7ページ半は雑誌に書いた高安自身の文章の再録という形になっている。
改版には高安の自分語りが多く、歌集の解説としては異色とも言える内容だ。
それは一人称の使われている回数の多いことからもわかるだろう。
・「私」 10回
・「私たち」 5回
・「ぼく」 29回
・「ぼくたち」 3回
・「ぼくら」 2回
・「我々」 1回
ちなみに初版の方は「僕」が1回、「僕たち」が1回、「我々」が1回出てくるだけである。
初版と改版のこの違いから、はたして何が読み取れるのか。
面白い問題を含んでいるように思う。
私の講演は改版に即して述べたものでした。
原版、手に入れなくては。
それから、歌壇や角川などで、
私の文章や名前をいろいろ引用してくださり、
本当にありがとうございました。
また2年、歌人集会、よろしくお願いします。
1月24日金曜日六時から、新理事会を開きます。
(文書、まだ出すのおくれています)
よろしくお願いいたします。
理事会のこと、了解しました。
先日の大会は講演だけで帰ってしまい、失礼しました。
2年間よろしくお願いします。
初版本と改版本のちがい、研究する者としてはおもしろいですが、同時におっかない話でもありますね。文章を発表した後で気付いて冷や汗とか・・・恐い恐い・・・(奥付が「改版」となっていればまだ察しもつきますが、「版」や「刷」の表示すらない本もあります。)
『高安国世の手紙』で「1971改版」ときっちり明示しておいたのはよかったですね。
自分も引用した本に関する話だったのでドキッとしました。
中西さんのブログにも、中村憲吉の『林泉集』の初版本と改版本の話がありましたね。本というのは本当に奥が深いなと思います。