2013年12月12日

北海道新聞空知「炭鉱」取材班編著 『そらち炭鉱遺産さんぽ』

写真:風間健介。

北海道の空知地方(三笠市、美唄市、夕張市、赤平市、芦別市など)に残る炭鉱関連の遺跡を、写真や証言とともに紹介した本。2001年に北海道新聞空知版に100回にわたって連載された「炭鉱遺産散歩」と、同じく10回連載された「炭鉱再考」が元になっている。
日本と北海道の近代化を地底から支えた空知の炭鉱。産業も、資本と労働も、地域社会も文化も…。近代北海道の多くの原型がここにありました。先住民族を抑圧した開拓政策や戦時中の強制連行、繰り返された炭鉱事故。遺構を目の前にすると、そうした負の側面を含め、近代化とは何であったかを、ここで感じ、考えることができるのです。

炭鉱遺産の保存・活用には費用を含めて様々な問題があり、本書に載っている遺産の中にも既に現在では取り壊されたものがある。けれども、最終的に壊されて無くなってしまったとしても、保存を目指す運動を通じて人々のなかに芽生えたものがあるならば、それは決して無駄ではなかったと言えるのだと思う。

2003年10月1日、共同文化社、1800円。

posted by 松村正直 at 07:40| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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