2013年12月06日

西村義樹・野矢茂樹著 『言語学の教室』


副題は「哲学者と学ぶ認知言語学」。

哲学者の野矢が西村から認知言語学の講義を聴くというスタイルで、6回にわたって行われた対談をまとめたもの。すこぶる面白い。

「雨に降られた」は自然な日本語なのに「財布に落ちられた」はヘンなのはなぜか、とか、「花子は交通事故で息子を死なせてしまった」と「息子に死なれてしまった」とどちらでも表現できるのはなぜか、とか、「ブザーを押す」と「ブザーが鳴る」ではブザーの指す場所が違っている、とか、そんな話がたくさん出てくる。

専門的な内容もだいぶ含まれているのだが、講義という形で話が進んでいくので理解がしやすい。しかも一方的に「教える―教わる」のではなく、生徒役の野矢さんがしばしば反論したり、自分の意見を述べるのがいい。
野矢 ラネカ―には悪いけど、認知主義の意味の捉え方を示すのに、そんなにいい例だとは思えませんでした。
西村 えーっ、そうですか?

こんなところ、ほとんど漫才みたいで楽しい。

2013年6月25日、中公新書、840円。

posted by 松村正直 at 22:34| Comment(0) | ことば・日本語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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