2013年11月02日

「かりん」2013年11月号

「歌の彩時記」というページに、高安国世の歌が取り上げられている。
  我が心をののき易き季(とき)となる山羊は日なたを既に恐れず
                 『夜の青葉に』

筆者の早崎久子さんは、他にも山羊の歌をいくつか引いて「歌集には〈山羊の歌〉の一連があり、そこここに山羊の姿があった」と書く。そして、自分も戦後の時期に牡の子山羊を飼っていたことを述べ、「私の山羊は戦後のあの日々の記憶の中に今も生きている」と記している。

私も以前、「山羊の歌と日本の戦後」(「星雲」2012年1月号)という文章を書いたことがあり、そこに高安の山羊の歌を引いた。同じく戦後の近藤芳美の歌集『歴史』にも、山羊を飼っていた歌が出てくる。

私は、それらの歌が詠まれた昭和二十年代を体験してはいないのだが、こうした歌や文章を通じて、少しではあるがその時代の空気を感じることができる。そんなところにも、短歌を読むことの楽しみはあるのだ。

posted by 松村正直 at 16:15| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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