2013年10月24日

小泉英政著 『土と生きる 循環農場から』


無農薬・無化学肥料で育てた季節の野菜を、定期的に会員に届けるという形で農業を行っている著者が、有機農業のあり方や野菜のあれこれについて記した本。野菜と一緒に会員に届ける「循環だより」が元になっている。

後半は、一転して著者の半生を記した自伝的な内容。成田空港建設反対運動に加わって三里塚に移住し、現地に住む女性の養子となって就農。仲間とともに有機野菜の産地直送を始め、その後、独立するまでの軌跡を記している。

40年以上という歳月をかけて、著者は自らの思想や運動を実践し、証明してきたのだ。思想の是非を超えて、その歳月と人生の持つ重みに心を打たれる。
農民の特技のひとつは、仕事を通して風景を創造することができることだ。
農村に限らず、その土地、その地の環境は、そこに暮らす人々の日々の働きかけによって、形づくられたもので、それ故に、また作り変えることも可能だということだ。

福島の原発事故は、著者の農場にも大きな影響を及ぼした。「野菜を食べることは、その育った土を食べることだから、食べられる土を作ろう」という考えのもとに著者の積み重ねてきた努力。それを全て無にしてしまう事故が起きたのだ。あらためて、原発問題の大きさを感じさせられた。

2013年9月20日、岩波新書、760円。

posted by 松村正直 at 22:20| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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