2013年10月18日

池内紀著 『きまぐれ歴史散歩』


旧石器が出土した岩宿遺跡、空海が開いた高野山、平家滅亡の壇ノ浦、京都伏見の寺田屋、足尾の銅山、特攻隊の出撃した知覧など、歴史の舞台となった町を訪ねて日本の各地を旅したエッセイ。全26篇。

「歴史の洗礼を受けた土地は、奇妙なオーラをおびている。余光・残照といったものだ。たたずまいが微妙にちがう」と述べる著者が、その土地の持っている雰囲気や味わいを言葉で描き出していく。
会津戦争は太平洋戦争末期の沖縄戦とよく似ている。圧倒的な敵軍に対して、老いも娘も竹槍で突進し、暗黙の強制のなかで集団自決をした。早トチリの白虎隊は時代の経過のなかで美しい悲劇となり、会津戦争のみじめさを覆い隠した。日本人の頭にスリこまれた白鉢巻の少年は、のちの特攻隊や、ひめゆり部隊の原型ではなかろうか。

歴史は過去のものではなく、常に現在のものである。
NHKの大河ドラマ「八重の桜」を見て、ちょうど同じようなことを感じていたので、印象深い一節であった。

2013年9月25日、中公新書、760円。

posted by 松村正直 at 23:51| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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