2013年09月10日

マソヒズム、サヂズム

佐藤佐太郎の実質的な第1歌集『軽風』に、こんな歌がある。
汗ながして夕飯をくふひとときの我のこころはマソヒズムのごとし
一息(ひといき)に飲みくだしし熱き飲料をサヂズムのごとく我は楽しむ

歌集の中では2首並んでいるのではなく、別々のところにある。昭和5年と6年、21歳から22歳にかけての歌である。謹厳実直といったイメージのある佐太郎に、こんな歌があるのがおもしろい。

だらだら汗を流して食事をしながら、何か罰を受けてでもいるような被虐的な思いを味わう。あるいは、熱い飲み物を一気に飲み込んで、喉や胃を焼いてしまうような加虐的な思いを感じる。

どちらにも都市生活者の鬱屈とした気持ちが滲んでいる気がする。

posted by 松村正直 at 00:20| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。