汗ながして夕飯をくふひとときの我のこころはマソヒズムのごとし
一息(ひといき)に飲みくだしし熱き飲料をサヂズムのごとく我は楽しむ
歌集の中では2首並んでいるのではなく、別々のところにある。昭和5年と6年、21歳から22歳にかけての歌である。謹厳実直といったイメージのある佐太郎に、こんな歌があるのがおもしろい。
だらだら汗を流して食事をしながら、何か罰を受けてでもいるような被虐的な思いを味わう。あるいは、熱い飲み物を一気に飲み込んで、喉や胃を焼いてしまうような加虐的な思いを感じる。
どちらにも都市生活者の鬱屈とした気持ちが滲んでいる気がする。