1996年に岩波書店より出版された本が、新たに「岩波人文書セレクション」の一冊として刊行された。
東京に残る同潤会アパート、平塚千鶴子邸(日魯漁業創業者・平塚常次郎の娘)、旧亀井茲明伯爵邸(旧津和野藩主13代)、安田楠雄邸(安田財閥の創業者・安田善次郎の孫)などを訪ねて回った記録。17年前の本なので、既に取り壊されてしまった建物も多い。
森 アパートという言葉は、いまのマンションという呼び名より良かったのかしら。
藤森 ずっと良かった。アパートメントといったんです。すごく良かったみたいですよ。どんどん価値が下がっていくね、ああいう言葉って。
その一方で、この本でも紹介されている「江戸東京たてもの園」(1993年開園)には、今ではかなり多くの建物が移築・復元されているようだ。前から一度訪れてみたいと思いつつ、まだその機会がない。
2012年10月23日、岩波書店、2200円。