2013年09月04日

『佐藤佐太郎全歌集』

佐藤佐太郎の全歌集を読んでいる。
全歌集は、時間のある時にゆっくり読むのがいい。急いで読んでも、多分おもしろくない。

第5歌集『帰潮』(昭和27年)の後記にこんなことが書いてある。
(…)私の歌には事件的具体といふものは無い。短歌はさういふものを必要としないからである。

佐太郎の言葉はいつも明快である。そして、時々ハッとするようなことを言う。ここもサラリと書いてあるが、実はかなり過激で本質的なことを言っている。

これを読んで思い出したのは、小池光の歌集『日々の思い出』のあとがきである。
思い出に値するようなことは、なにもおこらなかった。なんの事件もなかった。というより、なにもおこらない、おこさないというところから作歌したともいえる。

こうして比べてみると、両者には通じ合うものがあるように感じる。

posted by 松村正直 at 14:58| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。