その前年の1968年2月号に「学生短歌の新鋭九人」の一人として、河野さんの作品「紫紺の眼」14首が掲載されている。他のメンバーは、伊藤洋子、大林明彦、川戸恒男、清宮剛、佐藤和之、下村光男、田中仁巳、松見健作。
この「紫紺の眼」14首は、第一歌集『森のやうに獣のやうに』に収録されている歌が多いが、それ以外に、
温み来る真昼の水に指あそばせて幾度つぶやきぬなつかしき名を
天心に散華し終へし猛禽の瞑らぬ紫紺の眼を見たきかな
いななきは遂のまぼろし猛禽のこゑかんかんと十月の天を打つ
といった歌がある。
ちなみに永田さんの総合誌デビューは、角川「短歌」1969年2月号。「新人登場」という欄に、「疾走の象」8首が掲載されている。