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手を出せば水の出てくる水道に僕らは何を失うだろう 『駅へ』
この歌を読むと思い出すのは、「塔」に入って間もない頃(1998年10月号)に、誌面の批評欄で岡部史さんにこの歌を取り上げてもらったことです。その頃は福島に住んでいて、近くに短歌をやっている人もなく、一人きりで歌を作っていたので、その批評が本当に励みになりました。数行の文章を何度も繰り返し読んだものです。
そういうことは、何年経っても忘れませんね。
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声だけでいいから〜の歌は、私もとても印象に残っています。
工場のことを歌われた歌も、時々思い出します。
若冲の犬の歌も、なぜか時々思い出す一首です。
あと、色々な所で、裕子さんが「調子の悪い時ほど作る
」又そういう時ほど作れる、と書いたり、言ったりしていたと思うのですが、
それはなぜなのでしょうか。
なんとなくは、わかるのですが。
他にも「忙しい時ほど良い歌ができる」ということも、よくおっしゃってました。これも、忙しいから歌ができないと、自分に言い訳しないようにという意味でしょうね。
私は、調子の悪い時というのは、精神と体調面のことで、
夕方のたまらない時などに、作らざるを得ない、
作って乗り切らざるを得ないという意味で生まれてくるのかな、
とも思っています。
先日の「数へつつつひには」、の記事の冒頭二首を、
初めて並んで読み、並んでいることによって、新しく胸突かれました。
あのように読みぬいておられる松村さんをさすがだなあ、
と思いました。