2013年07月13日

「井泉」2013年7月号

リレー小論〈作品の「読み」について考える〉に、柳澤美晴さんの書いている「体験・体感・空気」という文章が面白かった。歌の読みに読み手の経験がどのように影響するかについての話である。

「体験を通すことで、歌が生々しい面を見せて己の内部に立ち上がる」「(…)体感をくぐらせることで歌の読みの手掛かりを得ることがある」といった実例を挙げたのち、柳澤は
(…)実は誰しも自分の経験値を代入して歌の読みを行っている。その経験値が歌への共感や驚異の基盤となり、読みや評価に大きく影響する。それが、プラスに働けばいいが、マイナスに働く場合もある。

と記している。この「マイナスに働く場合もある」というのが、注意しなくてはいけないところだろう。歌会などでも、自分の経験に引き摺られて歌の読みを歪めてしまうケースをしばしば目撃する。

posted by 松村正直 at 23:49| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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