サハリン(樺太)が取り上げられているのも大きな魅力である。今、「樺太を訪れた歌人たち」という連載をしているので、かつて(大正から昭和戦前)歌人たちが訪れた町が、現在どのようになっているのかを知ることができる。
コルサコフには旧北海道拓殖銀行大泊支店や神社跡など、日本時代のクラシックな建築がいくつか残り、ちょっとした建築散歩気分が楽しめるが、全体的には国際貿易港という語感からほど遠い、一抹のうら寂しさが漂う港町。
ネベリスクを訪れる観光客の数は少ない。さびれた港湾都市である。人口は二万四〇〇〇人。かつては冬場の不凍港として、日本との定期航路でそれなりに栄えた街だが、今ではもうその面影はない。
ポロナイスク(旧・敷香)の沖合に浮かぶチュレー二ー島。もと海豹島と呼ばれたこの島は、春から秋にかけて約七万頭のオットセイがやってくる、世界最大級のコロ二ーだ。
こんな文章を読んでいると、随分と心惹かれる思いがする。