2013年07月12日

『地球のはぐれ方』のつづき

この本の題は『地球の歩き方』のパロディなのだろう。確かに、観光用ガイドブックとしては使えそうにない本である。その代わり、物の見方や旅のあり方については、いろいろと学ぶことができる。

サハリン(樺太)が取り上げられているのも大きな魅力である。今、「樺太を訪れた歌人たち」という連載をしているので、かつて(大正から昭和戦前)歌人たちが訪れた町が、現在どのようになっているのかを知ることができる。
コルサコフには旧北海道拓殖銀行大泊支店や神社跡など、日本時代のクラシックな建築がいくつか残り、ちょっとした建築散歩気分が楽しめるが、全体的には国際貿易港という語感からほど遠い、一抹のうら寂しさが漂う港町。
ネベリスクを訪れる観光客の数は少ない。さびれた港湾都市である。人口は二万四〇〇〇人。かつては冬場の不凍港として、日本との定期航路でそれなりに栄えた街だが、今ではもうその面影はない。
ポロナイスク(旧・敷香)の沖合に浮かぶチュレー二ー島。もと海豹島と呼ばれたこの島は、春から秋にかけて約七万頭のオットセイがやってくる、世界最大級のコロ二ーだ。

こんな文章を読んでいると、随分と心惹かれる思いがする。

posted by 松村正直 at 00:38| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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