原稿の催促をされて嬉しい人はいない。締切に遅れているのは自分が一番よくわかっているのだから、それを相手に言われるのは嫌なものである。
でも、催促をされるより、催促をする人の方が、きっと何倍も嫌なのだ。「塔」の編集長という立場上、しばしば原稿の催促をしていて、そう感じる。
河野裕子さんが亡くなる数ヶ月前に、電話で原稿の催促をしたことがあった。河野さんの病状が良くないのはもちろん知っていた。「あなたにはいつもご面倒をかけてしまって」と河野さんは私に謝った。
あの時ほど、編集長をやっていなければと思ったことはない。今、思い返しても胸が痛む。
最近本を読み返しておりまして、
今更ながら言葉に力付けられています。
歌の評など、裕子さんの評を読んでから読み返すと、
歌が何倍も届いてくることが不思議です。
どうぞお気楽に。
僕も時おり、歌集などを読み返しています。
言葉には肉声がこもっているようで、言葉の中にまだ生きているという感じを受けますね。