取り上げられているのは「JR弥彦線で行く彌彦神社」「南海電鉄高野線で行く高野山」「JR参宮線で行く伊勢神宮」「高松琴平電鉄琴平線で行く金刀比羅宮」など、全国各地の42か所。
「JR奈良線で行く伏見稲荷大社・東福寺など」という項目もあり、これなどはまさに私の地元。京都駅―東福寺駅―稲荷駅―JR藤森駅(わが家の最寄り駅)―桃山駅という並びを見ても、なるほど「聖地鉄道」とはよく言ったものだと思う。JR藤森駅には藤森神社が、桃山駅には明治天皇の伏見桃山陵がある。
序章の「聖地と鉄道の古くて新しい関係」は、聖地鉄道の歴史や意味などを考察したものでおもしろい。通勤通学に普通に使っているような路線も、元は聖地と深い関係があったことなどが昔の絵図を基に示されている。
それに対して、1章以降の個別の聖地鉄道の紹介は、一か所あたり4〜5ページという少ない分量であり、掘り下げ不足の感が否めない。ガイドブック的な作りの本なので、仕方がないことではあるのだが。
天焦がす火炎の中に立ちのぼるタケミカズチをおまえも見たか
出頭寛一(「塔」5月号)
「JR鹿島線で行く鹿島神宮・香取神宮」を読むと、鹿島神宮の祭神が武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)であることも、ちゃんと記されている。
2011年12月21日発行、洋泉社y新書、860円。