2013年05月22日

『京都の平熱』の続き

さらに、いくつか印象に残ったところを。
格子状のこの街がひとを安心させるのは、この「碁盤の目」のどこに立ってもなじみの山が見えるからである。三方を山に囲まれたこの街では、山の姿で方向が分かる。(…)逆に東京という街は、どこからも山が見えない。だから東京に行けば京都で育った者は底知れぬ不安に襲われるのである。

東京(と言っても郊外だが)で生まれ育って、京都に住んでいる者として、この感覚はよくわかる。京都の地理感覚にとって大事なのは、実は「碁盤の目」ではなく、山の姿なのである。京都に住み始めてすぐに、「山のない方が南」と言われたことを思い出す。
京都は観光の街ではない。京都市は街じゅうが接客をしていてまさに観光でもっているように見えるが、じつはその収入は一割を占めるにすぎない。京都はいまも、典型的な内陸型の工業都市である。

これは、まあ、京都に住んでいる人はよく知っていることかもしれない。それにしても「一割」というのにはびっくり。少なくとも三割くらいはあるのかと思っていた。
京都はなだらかな坂の街である。北大路は東寺の五重塔のてっぺんより高いところにある。自転車で南から北へ上がると、からだでそれが実感できる。行きは帰りの倍以上、時間がかかる。

これは、知らなかった。東寺の五重塔の高さは木造としては日本一の54.8メートル。つまり京都の南の十条通と北の北大路通とでは50メートル以上の標高差があるというわけだ。それにしても「十字路で小便をしても分かる」(南の方へ流れる)とあるのは本当だろうか?

posted by 松村正直 at 19:42| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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