副題は「行って、見て、触れる《語源の旅》」。
先に読んだ『ぷらり日本全国「語源遺産」の旅』と同じく、ある言葉の語源となった出来事や場所を求めて、全国各地をめぐった記録。実はこちらの方が第1弾で、基本編とでも言った感じである。
「うやむや」の元になった「有耶無耶の関」(秋田県・山形県)、「ごたごた」の元になった兀庵和尚(神奈川県)、「ごり押し」のゴリ押し漁(石川県)、「チンタラ」のチンタラ蒸留機(鹿児島県)など、全23話。どれも面白い。
この本が数ある語源関連の本と違うのは、必ず現地を訪れるという現場主義を取っていることだ。作者が嫌うのは「辞典の孫引きで成立している雑学ウンチク本」であり、「ネット情報を鵜呑みにしたり、過信している人」である。
この本の中でも、いくつも定説を覆す発見をしたり、辞典等の間違いを正したりしている。やはり、自分自身で行って、見て、触れて、確かめることが大切なのだ。いや、大切なだけではなく、その方が何倍も楽しいのだということが、本書を読むとよくわかるのである。
2009年3月20日、光文社新書、880円。
2013年05月14日
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