先日亡くなった大鵬とその父であるマルキャン・ボリシコについて詠んだもの。大鵬と樺太の関わりについては、以前このブログでも取り上げたことがある。(→1月21日)池田さんは『お相撲さん』というエッセイ集を出しているほどの相撲好き。
戦争がふかぶか落とす影のある大鵬ならむ樺太に生れき
しら雲のコサック騎兵隊長の若きマルキャン速駆けをせり
マルキャンは敷香(しすか)に渡りほのぼのと巡り合ひにき大鵬の母と
み棺が国技館を出づるとき大鵬、たいほうとこゑは叫びぬ
ユーラシアをはろばろと飛びその父も大鵬もまた見えなくなりぬ
大鵬の父の生涯については、現在ではかなり詳しくわかっている。それは、サハリン在住の研究者N.ヴィシネフスキーが2001年4月号の「文藝春秋」に「大鵬の父親サハリンに死す」(小山内道子訳)という文章を発表してからのこと。
ヴィシネフスキーは同じく小山内道子訳で『トナカイ王―北方先住民のサハリン史』という本も出しており、樺太研究に大きな業績を残している。