2013年04月16日

佐藤忠悦著 『南極に立った樺太アイヌ』

ユーラシア・ブックレット64。副題は「白瀬南極探検隊秘話」。

明治43年から45年にかけて南極探検を行った白瀬矗(のぶ)の一隊に同行した2人の樺太アイヌ、山辺安之助と花森信吉。犬橇係として樺太犬を連れて参加したこの2人の生涯を描いた本。

アイヌ民族の地位の向上を願って探険隊に参加した2人の奮闘ぶりがよく伝わってくる。それだけに、その後の2人がたどった運命やアイヌの置かれた立場について、いろいろと考えさせられる内容となっている。

南極探検と犬と言えば、戦後の第1次南極観測隊で南極へ置き去りにされた犬たち(そして奇跡的な生還を果たしたタロとジロ)の話が有名だが、白瀬隊でも同様のことがあった。南極を離れる際に、26頭のうち20頭が収容できずに置き去りにされたのである。

山辺と花森の2人は樺太に戻ってから、犬を置き去りにした罪によりチャランケ(査問)にかけられている。それほどに、樺太アイヌにとって犬は大事な存在であったのだ。

2004年6月20日、東洋書店、600円。

posted by 松村正直 at 00:50| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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