曲がりくねった柱と土壁でできた「野良小屋」(広島県三次市)、白の碁石の材料としてパンチングで穴を空けられた後、山積みにされた「蛤碁石の山」(宮崎県日向市)、無数のしゃもじが奉納されている「しゃもじ窟」(大分県中津市耶馬渓町)など、どれも個性的で印象に残る。
そして、ここでも大切なのは、土地と人だ。
筆者が出会った「ゲニス(人)」と「ロカス(土地)」の、忘れがたい物語の一つ。
「雀おどり」(長野県茅野市)
それが形になったとき、人と土地にまつわる地霊の物語となった。
「乾燥小屋の屋根」(大分県別府市)
著者の好みとこだわりと情熱が、実によく伝わってくる一冊である。
2007年4月30日、石風社、2300円。