副題は「日本人が遺したことば」。
20世紀に記された手紙や遺書など計102通の中の言葉を紹介しながら、その手紙の書かれた背景や人物などについて記した本。一つの手紙についての文章は2〜3ページという短いものであるが、非常に手際よく要点を押さえている。
手紙という最も個人的な内容のものを集めているにも関わらず、一冊を通して読むと、この100年に日本と日本人がたどった歴史がくっきりと浮かび上がってくる。それが、この本の注目すべきところだろう。
手紙の言葉が持っている力というものも強く感じさせられた。途中で何度も涙がにじんで、読むのを中断したほどである。言葉の力という点に関して言えば、短歌というのも、手紙の一種なのかもしれない。
2013年1月22日、岩波新書、800円。
2013年03月19日
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