この番組は1973年から小沢が亡くなる2012年まで、約40年にわたって実に1万回以上放送されている。人気番組であり名物番組であったわけだ。
小沢は『日本の放浪芸』の中で、絵解き、節談(ふしだん)説教、江州音頭、阿呆陀羅経、浪花節などの「説く芸」「話す芸」を紹介している。そして
筋のあるお話を、或る言葉の韻律に乗せて喋るということは、人類が考え出した一つの楽しみでもあるし、聴く方にとっても心地よいものなんです。
と述べている。さらに、そうした「語り物」が衰退している現状を指摘した上で、
(…)新しい語りの韻律を創り出し、観客との新しい接し方を創ることによって、新しい「語り物」が出来るんではないかなと思ったんです。僕も僕流の新しい節を創って行きたい。
と述べている。自分の名前を冠したラジオ番組は、小沢にとってそうした新しい「語り物」であったのだろう。