2013年03月11日

『日本の放浪芸』の続き

俳優としての小沢昭一については、ほとんど何も知らない。小沢昭一という名前を聞いて真っ先に思い出すのは、TBSラジオで放送されていた「小沢昭一の小沢昭一的こころ」である。

この番組は1973年から小沢が亡くなる2012年まで、約40年にわたって実に1万回以上放送されている。人気番組であり名物番組であったわけだ。

小沢は『日本の放浪芸』の中で、絵解き、節談(ふしだん)説教、江州音頭、阿呆陀羅経、浪花節などの「説く芸」「話す芸」を紹介している。そして
筋のあるお話を、或る言葉の韻律に乗せて喋るということは、人類が考え出した一つの楽しみでもあるし、聴く方にとっても心地よいものなんです。

と述べている。さらに、そうした「語り物」が衰退している現状を指摘した上で、
(…)新しい語りの韻律を創り出し、観客との新しい接し方を創ることによって、新しい「語り物」が出来るんではないかなと思ったんです。僕も僕流の新しい節を創って行きたい。

と述べている。自分の名前を冠したラジオ番組は、小沢にとってそうした新しい「語り物」であったのだろう。

posted by 松村正直 at 18:11| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。