2013年01月27日

『百年前の日本語』のつづき

第4章「統一される仮名字体」では、異体仮名(変体仮名)のことが取り上げられている。
(…)一つの仮名に複数の字体が存在していることが、日本語の歴史においては長く一般的であった。この複数の仮名字体のことを「異体仮名」と呼ぶ。

こうした複数の字体が統一される大きな要因となったのが、明治33(1900)年に出された「小学校令施行規則」なのだそうだ。この規則の中で「小学校ニ於テ教授ニ用フル仮名及其ノ字体ハ第一号表ニ(…)依リ」と定められた。
明治三十三年以降、「第一号表」の仮名字体が小学校で教えられ、次第に標準的な仮名字体として定着していくことになる。

こうして「標準的な仮名字体」が決まったために、それ以外の字体は今では「変体仮名」と呼ばれるようになったわけだ。

『現代短歌全集』(筑摩書房)の第一巻は明治42年以前の歌集を収録している。それを読むと、そうした変体仮名がしばしば使われている。使用されている変体仮名を元になった漢字で示してみると、次のようになる。

・與謝野鉄幹『東西南北』(明治29年) は(八)、に(爾)、お(於)
・金子薫園『かたわれ月』(明治34年) し(志)、お(於)、こ(古)、そ(曽)、え(江)
・與謝野鉄幹『紫』(明治34年) そ(曽)、こ(古)、お(於)、え(江)
・服部躬治『迦具土』(明治34年) し(志)
・鳳晶子『みだれ髪』(明治34年) なし
・みづほのや(太田水穂)『つゆ艸』(明治35年) そ(曽)、お(於)、え(江)
・佐々木信綱『思草』(明治36年) し(志)、は(八)
・尾上紫舟『銀鈴』(明治37年) なし

当り前の話ではあるけれど、短歌の歴史が日本語の歴史と深く関わっていることを、あらためて感じた。

posted by 松村正直 at 00:21| Comment(0) | ことば・日本語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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